【問題】 \(i\) を虚数単位とし,\(k\) を実数とする.
\(\alpha=-1+i\) であり,点 \(z\) は複素数平面上で原点を中心とする単位円上を動く.以下の問いに答えよ。
(1) \(w_{1}=\dfrac{\alpha+z}{i}\) とする.\(w_{1}\) が描く図形を図示せよ。
(2) \(w_{2}\) は等式 \(w_{2}\overline{\alpha}-\overline{w_{2}}\alpha+ki=0\) を満たす.\(w_{2}\) の軌跡が,(1)で求めた \(w_{1}\) の軌跡と共有点をもつ場合の \(k\) の最大値を求めよ。ただし, \(\overline{\alpha}, \overline{w_{2}}\) はそれぞれ \(\alpha, w_{2}\) の共役複素数である.
【分析】数学Ⅲ:複素数平面
(1)は複素数平面における軌跡で、定番のものである。(2)は円と直線が共有点をもつときの話であるが、これを実数平面において考えることができるかが大事なところである。そこさえクリアできれば、数学Ⅱの図形と方程式の内容(円と直線の位置関係)であるから、点と直線の距離公式または連立して2次方程式の判別式から求めればよい。
【解答および解説】
点 \(z\) は複素数平面上で原点を中心とする単位円上より,
\(|z|=1\)・・・・・・①
(1) \(w_{1}=\dfrac{\alpha+z}{i}\) より,\(z=iw_{1}-\alpha\)
①に代入して,\(z\)消去
\(|iw_{1}-\alpha|=1\)
\(|i|\left|w_{1}-\dfrac{\alpha}{i}\right|=1\)
\(\left|w_{1}-\dfrac{\alpha}{i}\right|=1\) (∵\(|i|=1\))
\(\alpha=-1+i\) だから,
\(\left|w_{1}-\dfrac{-1+i}{i}\right|=1\) ∴\(|w_{1}-(1+i)|=1\)
よって,\(\boldsymbol{w_{1}}\)は中心\(\boldsymbol{1+i}\),半径\(\boldsymbol{1}\)の円を描く。この円を\(C\)とする。
図は
(2) \(w_{2}=x+yi\)とおく。ただし,\(x, y\)は実数とする。
\(w_{2}\overline{\alpha}-\overline{w_{2}}\alpha+ki=0\) を満たすから,\(w_{2}\)と\(\alpha\)を代入して,
\((x+yi)(-1-i)-(x-yi)(-1+i)+ki=0\)
\((-2x-2y+k)i=0\)
\(x, y, k\)は実数より,
\(-2x-2y+k=0\) ∴\(2x+2y-k=0\)・・・・・・②
これより,\(w_{2}\)の軌跡は直線となる。
したがって,\(w_{1}, w_{2}\)の軌跡が共有点をもつのは,
実数平面で考えると,
\(C:(x-1)^2+(y-1)^2=1\)と②が共有点をもつときであるから,点と直線の距離公式を用いると
\(\dfrac{|2\times1+2\times1-k|}{\sqrt{2^2+2^2}}\leqq1\)
\(|k-4|\leqq2\sqrt{2}\)
∴\(-2\sqrt{2}\leqq {k-4}\leqq2\sqrt{2}\)
∴\(4-2\sqrt{2}\leqq {k}\leqq4+2\sqrt{2}\)
よって.\(k\)の最大値は \(\boldsymbol{4+2\sqrt{2}}\)