【数学Ⅰ】因数分解5つのコツ~これだけで、8割以上は解ける~

高校数学の最初の壁として立ちはだかる【因数分解】について、まとめたものになります。
中学のときの因数分解とは、難易度が全くと言っていいほど異なります。
あくまで私が思うイメージですが、
中学因数分解=少年サッカー
高校因数分解=高校サッカー

だからこそ、高校の【因数分解】はやるべきことをしっかりまとめる必要があります。中学数学で通用した「ゴリ押し」は、通用しないと思ってください。では、始めていきましょう!

①共通因数でくくる。★

因数分解の基本中の基本です。次の式のように、すべての項に同じものがあれば、真っ先にくくってあげましょう。

$$ma+mb+mc=m(a+b+c)$$

\(m\)が共通因数ですので、\(m\)でくくっています。
例では、\(m\)だけでしたが、実際の因数分解では【式のかたまり】でくくることが多いことに注意しておきましょう。

②公式を利用する(展開公式の逆)。★

次は、公式を利用するタイプです。展開公式(乗法公式)の逆で、以下のものがあります。
※一部、数学Ⅱの内容を含みます。

(1) \(a^2-b^2=(a+b)(a-b)\)

(2) \(x^2+(a+b)x+ab=(x+a)(x+b)\)

(3) \(acx^2+(ad+bc)x+bd=(ax+b)(cx+d)\) (たすき掛け)

(4) \(\begin{cases}a^{3}+b^{3}=(a+b)(a^2-ab+b^2)\\ a^{3}-b^{3}=(a-b)(a^2+ab+b^2)\end{cases}\)

いくつか例を挙げておくと

\(ab^3-a^3b=ab(b^2-a^2)\)
\(\hspace{23mm}=\boldsymbol{ab(b+a)(b-a)}\)

\(8x^4+27xy^3=x(8x^3+27y^3)\)
\(\hspace{30mm}=\boldsymbol{x(2x+3y)(4x^2-6xy+9y^2)}\)

こんな感じです。

③同じ形を作っておきかえる。★

文字通り、同じ形を作って置き換えます。もちろん、いちいち別の文字でおくのが面倒な人は無理に置く必要はありません。
これも例を挙げておきましょう。

次の式を因数分解しましょう。
(1) \((x^2+2x)^2-3(x^2+2x)-4\) 
(2) \((x-1)(x-2)(x-3)(x-4)+1\)
【解答】
(1) \(x^2+2x=t\)とおくと
\((x^2+2x)^2-3(x^2+2x)-4\)
\(=t^2-3t-4\)
\(=(t+1)(t-4)\)
\(=(x^2-2x+1)(x^2-2x-4)\)
\(=\boldsymbol{(x-1)^2(x^2-2x-4)}\)

(2) \((x-1)(x-2)(x-3)(x-4)+1\)
\(\hspace{7mm}=(x-1)(x-4)\times(x-2)(x-3)+1\)
\(\hspace{7mm}=(x^2-5x+4)(x^2-5x+6)+1\)
\(x^2-5x=t\)とおくと,
(与式)\(=(t+4)(t+6)+1\)
\(\hspace{14mm}=t^2+10t+25\)
\(\hspace{14mm}=(t+5)^2\)
\(\hspace{14mm}=\boldsymbol{(x^2-5x+5)^2}\)

④一つの文字で整理する。★★★

これです。習った人は特に苦戦したのではないでしょうか?
もし、苦戦しなかったのであれば、おそらくいま現在、数学に苦労はしていないのではないかと思います。
ここで苦労をするということは、【きちんと数学をやってきていない】可能性が高いです。
つまり、中学までは
答えが出ればOK! ゴリ押しでもよいから答え出てるから文句ないでしょ?
という感じでやってきた人です。
そういった人でも、ここで気持ちを入れ替えて丁寧に手順を守れば余裕です。ちなみに、【一つの文字で整理する】は、後々大事になってくる基本の動作です。必ずマスターしましょう。

【手順】
①~③の方法でうまくいかなそうなときで・・・・・・
Step1 どれか一つの文字で整理する。
 ↓   (次数が一番小さいものがあればそれがベスト)
Step2 整理した式の【係数・定数項】にあたる部分のみを因数分解
 ↓
Step3 共通因数があればくくる。なければ,たすき掛け。

次の式を因数分解しましょう。
(1) \(a^2b+a^2-b-1\)
(2) \(x^2-2xy+y^2-x+y-2\)
【解答】
(1) \(a^2b+a^2-b-1\)   ←\(b\)の式と見ると1次なので,\(b\)で整理。
\(\hspace{7mm}=(a^2-1)b+a^2-1\)   ←先に\(a^2-1\)でくくってしまうのもありです。
\(\hspace{7mm}=(a+1)(a-1)b+(a+1)(a-1)\)
\(\hspace{7mm}=\boldsymbol{(a+1)(a-1)(b+1)}\)

(2) \(x^2-2xy+y^2-x+y-2\)  ←\(x, y\)どちらの式と見ても2次なので,おまかせ。今回は\(x\)で。
\(\hspace{7mm}=x^2+(-2y-1)x+y^2+y-2\)
\(\hspace{7mm}=x^2+(-2y-1)x+(y+2)(y-1)\)  ←くくれないので,文字ありのたすき掛けへ
\(\hspace{7mm}={x-(y+2)}{x-(y+1)}\)
\(\hspace{7mm}=\boldsymbol{(x-y-2)(x-y-1)}\)

⑤強引に\(〇^2-△^2\)の形を作る。★★

これは例を見た方が早いでしょう。以下の式を見てください。
見てみると,\(x^2\)のかたまりが作れるので,\(x^2=t\)と置いて③の方法で行きたいのですがうまくいきません。そんなときにこの方法を考えてみましょう。

\(x^4+x^2+1\)を因数分解しましょう。
【解答】
\(x^4+x^2+1\)
\(=(x^2+1)^2-2x^2+x^2\)
\(=(x^2+1)^2-x^2\)
\(=(x^2+1-x)(x^2+1+x)\)
\(=\boldsymbol{(x^2-x+1)(x^2+x+1)}\)

【まとめ】
いかがでしょうか?
口頭で説明できていない分、伝わりづらい部分があったかもしれません。
しかし、ここにあるものをしっかりできるようにしたら怖くはありません。
例の問題でよいのでしっかりとできるようにしていきましょう。そして、たくさん問題をこなしていると、ここで言っていることがよくわかります。まずはやってみる。これを大事にしましょう。
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